相続Q&A
相続Q&A一覧
相続Q&A利用についての注意
①回答に正確性を期すように努めますが、正確性を保証するものではありません。詳細については専門家のアドバイスを求めてください。
②法制度変更等により、内容が現行制度に合致しない可能性があります。予めご了承ください。
相続について
- 遺産分割協議で注意することはありますか?
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税務面は要注意です。司法書士、行政書士が作成しますが、税務面まで理解していない場合もあります。税理士とも連携を取り、税務面も確認した上で作成して下さい。
- 代償金をどのように準備すればよいのでしょうか?
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相続人が代償金を準備するのは、大変なものです。そのため、生命保険を活用する方法があります。被相続人は、代償金を支払う相続人を受取人とする生命保険に入ります。代償金を保険金で補填するため、相続人は自ら準備する必要がなくなります。
- 代償分割はどのようなものですか?
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相続財産が自宅だけとします。被相続人と同居していた相続人が自宅を継ぐ場合、他の相続人に対して、自宅の代償となるものを渡す必要があります。
自宅を相続する人が、他の相続人に対して代償金を支払うことが一般的です。
- 換価分割はどういうものですか?
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現物分割できない不動産の場合や代償分割できない場合に、換金化し、相続人で分割します。相続人間で売却価格、期限、諸経費等を調整する必要があります。
売却するため、各相続人は、譲渡所得税の申告が必要になります。その際に相続人によって、居住用不動産の3000万円控除が適用できるか否かで、譲渡所得税が変わってきます。
- 現物分割はどのようなものですか。
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財産をそのまま渡します。
土地であれば一部分筆を行います。建物については、遺産分割協議書に取得する部分を示すため、平面図及び建物図面を添付します。
借地権であれば、一人の相続人が単独で取得する場合土地所有者の承諾が不要です。しかし借地権を区分して複数の相続人が取得する場合、承諾が必要になります。
- 遺産分割する方法がいくつありますか。
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3つあります。
現物分割、換価分割、代償分割です。
- 相続で借地権付建物を引き継ぐ予定です。 相続税対策で注意することはありますか?
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まず、小規模宅地の特例が適用できるかご確認下さい。小規模宅地の特例とは、自宅で使用している土地、権利を相続人が引き継ぎ、一定の条件を満たせば、330㎡まで評価額を80%下げることが出来ます。
- 借地権の売却を考えています。地主が第三者への売却を承諾してくれません。どうしたらよいでしょうか。
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地主が売却に承諾してくれない場合、地主に代わって裁判所が許可を出してくれます。この制度を借地非訟と呼びます。この制度を使うと、地主との関係は悪化する恐れがあります。また弁護士費用等も必要となります。
- 借地権の売却を考えております。 借地権の価格はどのように算定しますか?
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更地価格×借地権割合になります。借地権割合は、国税庁が発表している相続税路線価の借地権割合を参考にします。そのままの割合で買主が合意すれば問題はありません。
但し、地主は国税庁の借地権割合は、相続税を算定するものと考えていますので、周辺の取引事例、過去の事例を参考に交渉していきます。
- 借地権の売却を考えております。 注意すべきことはありますか?
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2つあります。
(1)実際に借りている面積と契約書上の面積が一致しているかご確認下さい。
(2)地主に売却の承諾をもらう必要があります。また売却後、名義書換料を支払います。
まず、地主に借地権の買取請求を行い、価格が折り合わない場合、第三者へ売却する手順が望ましいです。
- 借地上の自宅が老朽化してきたので、建替えを考えています。 建替えの際、注意点はありますか?
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3つあります。
(1)地主から承諾をもらう必要があります。建替え承諾料が必要になります。
(2)木造の建物から鉄筋コンクリート造に建替える場合、借地条件変更承諾料が必要となります。
(3)金融機関から融資を受ける場合には、地主の建替え同意書を求められる場合があります。
- 建物が未登記家屋になっています。未登記のままで借地権はありますか?
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あります。現地主のままであれば、未登記であっても借地権は主張できます。但し、新しい地主に変わると、明け渡しを請求される場合がありますので、登記をするが望ましいです。
- 土地賃貸借契約の更新を考えています。 更新料は必ず払わないといけないですか?
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契約条項に明記されていれば、支払う必要はあります。明記されていなければ、支払う必要はありません。
しかし、一部の地域では支払う習慣があります。 地主との良好な関係を継続するためには、支払うほうが良いです。
- 土地賃貸借契約書の期限が過ぎています。このままで問題ありませんか?
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問題はあります。現在、法定更新の状態になっています。しかし、地主との良好な関係を継続する上では好ましくありません。地主に連絡し、更新契約を行うことが望ましいです。
- 土地賃貸借契約書がありません。借地権がなくなってしまうのでしょうか?
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いいえ、なくなりません。
地主に地代を支払っている事実、借りている土地上に自分名義の建物があることの2つがあれば、借地権は成立しています。地主に連絡し、条件を確認した上で契約書を作成するほうが望ましいです。
- 借地権の旧法と新法はどのように違いますか。
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旧法は大正10年施行の借地法になります。一方、新法は平成4年8月1日施行の借地借家法になります。旧法は借地人に有利、新法は地主に有利の特徴があります。
- 贈与税の非課税対象となる生活費及び教育費は、金額に一定の基準はありますか?
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ありません。ご家庭によって、通常必要と認められるものは様々です。
但し、渡し方、使い方で注意すべきことはあります。イベントがあるその都度ごとに、直接支払われ、使い切ることが目安になります。
例えば、孫の大学入学金を祖父が支払う場合、直接、入学金だけを大学に、祖父が支払うことで条件を満たします。一方で祖父から父にお金が渡され、父が間接的に支払うことになると注意が必要となります。
- 贈与税の非課税対象となるものはありますか?
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あります。代表的なものに生活費と教育費があります。扶養義務者から、贈与を受けた財産は非課税となります。
- 贈与は、契約書を作成する必要がありますか?
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贈与者と受贈者の意思確認を明確にするために必要です。
しかし、贈与契約書だけでは不十分です。贈与財産が移転した事実があること(現金であれば振込、不動産であれば移転登記)、その財産を受贈者が管理していること(使いたいときに使える)が必要となります。
- 生前贈与のデメリットは何ですか?
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主に3点お話し致します。
1つ目は、もらった人ともらわなかった人の不公平感を生みます。結果的に、相続発生後、もらわなかった人がもらった人へ特別受益を主張する可能性があります。
2つ目は、一度に多く渡すと税負担が大きくなります。
3つ目は、相続発生前3年以内にもらった財産は、相続財産に持ち戻されてしまいます。
- 生前贈与のメリットは何ですか?
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生前贈与のメリットは、主に3点挙げることができます。
1つ目は相続財産を減らすことが出来ます。
2つ目はあげたい人に確実に渡すことが出来きます。しかも誰にでもあげることが出来ます。
3つ目は複数回に渡ってあげることができます。また1回あたりの贈与額を小さくすることで、税負担も少なく出来ます。
- 権利書がなくなりました。どうすれば良いでしょうか?
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権利証を紛失した場合、司法書士にお願いして本人確認情報制度を活用します。権利証の代わりに、司法書士等の資格者が責任を持ち、法務局に登記の申請を行います。
司法書士が、本人と面談を行い、本人確認(免許証、パスポート等)の提示を受けて、本人だと明らかにします。司法書士の責任が大きい手続きであるため、詳しくは司法書士事務所にご確認下さい。
- 土地賃貸借契約書がない場合、どのようにすればよいですか?
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まず、土地賃貸借契約書は賃貸人と賃借人で取り交わすので、契約者が持っているか確認して下さい。
次に再度作成する場合は、前回の契約内容をそのまま引き継ぐものとし、契約の残存期間も同じにします。契約書の作成日ですが、当時の契約日にするか、作成日にするかは、お互いの話し合いで決めていきます。
- 境界確認書がありません。どうすれば良いですか?
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隣地所有者と立ち合いを行い、お互いに境界線の合意が取れている確認書です。相手方が持っている場合がありますので、境界確認書をお借りし、測量会社に持参すれば、境界確認書の原本に相違ない書類として、土地家屋調査士が責任を持って写しを発行してもらえる場合があります。
あるいは相手方が持っていた境界確認書をもとに改めて測量し、境界確認書を作成する場合があります。詳しくはお問い合わせください。
- 測量図がありません。どうすればよいですか?
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当時お願いした測量会社に確認し、測量図が保存しているか確認下さい。
地積測量図であれば、法務局に保存される場合が多いですので、なくなることはあまりありません。
一方、現況測量図、確定測量図は、なくなる場合がありますので、その際は改めて、測量を行い測量図を作成致します。
- 公図に地番が表示されていません。どうすればよいですか?
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公図に地番がない場合、次の流れで確認し手続きするとスムーズです。
登記情報にも地番があり、かつ固定資産税課税通知書が毎年、送られてくる場合、都内では都税事務所、郊外では資産税課に相談し、役所が管理している地図がありますので、閲覧します。その後、法務局に行き、個別相談を行います。そのあとは資産税課と法務局が協議して、番号を加筆する作業となります。
- 配偶者居住権は配偶者単独で登記できますか。
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できません。原則、配偶者(登記権利者)及び居住建物の所有者(登記義務者)の共同申請になります。但し、家庭裁判所の調停あるいは審判になった場合、登記の命ずる旨の明示があれば、配偶者の単独申請が認められます。
- 配偶者居住権の期間は、変更あるいは延長できますか。
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できません。そのため、期間満了後は配偶者と子供の間で、賃貸借契約あるいは使用貸借契約を締結することは可能です。
- 2020年3月31日以前に配偶者居住権を遺贈する遺言を作成しました。有効ですか。
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無効です。施行日(2020年4月1日)以後であれば有効になるので、再度作成したほうが良いです。
- 土地は被相続人と子、建物は被相続人単独の場合、配偶者居住権は取得できますか。
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取得できます。建物が被相続人と子の共有の場合は、取得できません。
- 配偶者居住権は、遺言の中で「相続される」という文言で取得が可能ですか。
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「相続させる」という文言では、無効になる可能性があります。但し、「遺言する」の意味に解釈できる場合は取得できます。
「遺贈する」という文言で作成することが望ましいです。
- 配偶者居住権を活用する上で、注意点はありますか?
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注意点は、特に2つあります。
1つ目は、配偶者居住権単体は売却できません。具体的には、残された配偶者が自宅から高齢者施設に入居するため、自宅を売却するというケースです。配偶者居住権単体では売却できません。条文で明記されています。
2つ目は、自宅の所有者に贈与税がかかる場合があります。配偶者居住権は中途で解約することもできます。但し、設定した期間に残存期間がある場合、その期間に相当する評価額が自宅の所有者に移ったと考えられます。したがって、配偶者から自宅の所有者に贈与があったと見なされますので、贈与税の対象となります。
- 配偶者は被相続人と同居していなければ、配偶者居住権は設定できませんか?
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設定できます。同居の必要はありません。但し配偶者は、配偶者居住権を設定しようとする建物に居住している必要があります。
- 配偶者居住権は、内縁関係でも取得できますか。
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できません。
配偶者居住権の取得条件は、被相続人の戸籍上の配偶者であることです。
- 配偶者居住権を活用した場合のメリットはありますか?
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あります。2つ挙げます。
1つ目は他の財産を多く相続できるようになります。自宅の所有権から使用権に換えることで、自宅の財産評価を低くでき、その分、現預金を多く相続できるようになります。
2点目は節税になります。残された配偶者の死亡により、設定していた配偶者居住権が消滅します。つまり、配偶者居住権の評価額が0になります。したがって、配偶者居住権部分が節税になります。
- 配偶者居住権はどういうものですか?
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配偶者が自宅(居住用)を使用する権利です。残された配偶者が安心して自宅に住めることを目的に創設されました。2020年4月1日から施行しています。
- 財産評価のために調査を行いますが、注意することはありますか?
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売買をご経験された方であれば、重要事項説明書を作成する際に現地調査及び役所調査を必ず行います。重要事項説明書の内容と財産評価の減価要因が重なっているものも多いため、重要事項説明書を作成するつもりで調査して下さい。
- 前面道路に路線価がついていますが、道路ではありません。どうしたらいいですか?
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まず役所調査を行い、建築基準法上の道路種別を確認します。道路であれば路線価を使うことになります。しかし道路でなければ、通路(路地上敷地の一部、あるいは共有通路)、水路にふたをしてアスファルト敷きしているものなのか、隣地の敷地の一部なのか特定する必要があります。
路地上敷地の通路であれば、建築基準法上の道路の路線価を使用しますし、他人の敷地の一部を使用しているのであれば無道路地として評価することになります。
- 遺言の効果的な活用法はありますか?
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遺言のメリットは、財産を指定出来ます。
例えば、子どもがいないご夫婦で、すでにご両親がお亡くなりになっている場合、配偶者の相続が発生すると、遺言がなければ配偶者の兄弟姉妹にも相続の権利が発生します。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があれば指定された通りに財産は相続されます。
財産の種類によって、遺言を活用することもあります。共有で所有すると管理、処分する際に面倒になる不動産、会社の運営に支障をきたす自社株については、遺言で指定し共有を回避することができます。但し、他の相続人の遺留分を侵害しているのであれば、金銭で払う準備も必要になります。
- 遺言を作成する際に注意することはありますか?
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内容が遺留分を侵害しないように注意します。仮に遺留分を侵害している場合、遺留分侵害請求をされる可能性があるため、金銭で払う準備が必要となります。
付言事項を活用することです。遺言者が、 なぜこのような財産配分になったか思いと理由を各相続人ごとに伝えることで、各相続人に理解してもらい相続人間の争いを緩和させることも必要です。
- 遺言のメリットは何ですか?
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遺言があることで法定相続分の割合に従う必要はなくなります。遺言がある場合、遺言の内容が優先されます。遺言に納得しない相続人がいれば、遺産分割協議で話し合いとなります。したがって、遺言を作成する際に納得しない相続人への対策も合わせて作成します。
- 公正証書遺言のメリット、デメリットは何ですか?
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公正証書遺言は、二名以上の証人立ち合いのもと、遺言者が遺言内容を口述し、公証人が筆記し、遺言者に読み聞かせ、各人が署名捺印を行います。
メリットは家庭裁判所の検認が必要ありません。公証人役場が預かってくれるため、紛失、改ざん、隠匿の恐れもありません。また状況によっては、公証人が出張作成も行ってくれますし、目が見えない方も作成できます。
デメリットは作成費用がかかることです、また二名以上の証人も必要となります。
- 自筆証書遺言は、民法改正で変わりますか?
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改正前は全文自書が必要でしたが、改正によって財産目録については、自書が不要となり、印字が可能になりました。また金融機関の口座の写し、不動産では全部事項証明書の写しの添付が可能です。但し添付資料には書類ごとに署名捺印が必要となります。(2019年1月13日から)
遺言の紛失、改ざん、隠匿等の問題から、法務局への保管が出来るようになります。遺言者自ら指定された法務局に申請し、保管手続きを行います。法務局に保管されることで、家庭裁判所の検認が不要になります。(2020年7月10日から)
- 自筆証書遺言のメリット、デメリットはなんですか?
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自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自書し押印することで作成できます。
メリットは、誰でも簡単に作成することが出来、手直しも容易に出来ます。また作成費用はかかりません。
デメリットは、相続開始後、家庭裁判所の検認が必要となります。遺言者が紛失、忘失の恐れもあります。また偽造、改ざん、隠匿、及び破棄の可能性があります。
- 遺言は何種類ありますか?
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7種類あります。その中でも、普通方式の自筆証書遺言と公正証書遺言が一般的です。実務上、自筆証書遺言と公正証書遺言の内容を押さえておけば相続相談には対応できます。
- 建物の財産評価はどのようになりますか?
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固定資産税評価額が財産評価額となります。但し、自用(自宅、使用貸借)の場合はそのままの評価で構いませんが、賃貸用(貸しアパート、貸家、貸しマンション)は固定資産税評価額×(1-0.3)となります。
- 路線価地域ですが、対象物件の前面道路に路線価がありません。どうすればいいですか?
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税理士は特定路線価を申請することが多いです。実務上は3点ほど対応策があります。
1つ目は、特定路線価を申請することです。しかし一度申請してしまうとその路線価で申請しなければいけなくなります。
2つ目は、対象物件に近い路線価をそのまま適用します。
3つ目は、相続税路線価のほかに固定資産税路線価があり、相続税路線価と固定資産税路線価の比で計算して相続税路線価を算定します。
- 道路は評価対象になりますか?
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はい、なります。私道の場合、道路の所有者に相続が発生すると相続財産になります。通り抜け道路の場合、評価額は0になります。
一方、行き止まり道路の場合、30%評価になります。
但し、財産評価と時価が乖離しているケースが多く、路線価で評価せずに不動産鑑定評価、時価(売買価格)で評価する専門家もいます。
- 地積規模の大きな宅地とは何ですか?
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平成29年12月31日以前は広大地の適用、平成30年1月1日以降は地積規模の大きな宅地に変わりました。
対象地積 :三大都市圏500㎡以上、それ以外は1,000㎡以上
適用地域外:市街化調整地域(例外あり)、工業専用地区、指定容積率400%(東京都特別区300%)以上
地区区分:普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
計算式:路線価×奥行価格・不整形補正率等×規模格差補正率×地積
広大地に比べ、基準が明確になりました。広大地ではマンション適地は対象外とされていましたが、今回の地積規模の大きな宅地は対象となります。
- 財産評価をする際に注意することはありますか(地積)?
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地積が1㎡変わることで評価額は増えたり減ったりします。路線価が高いところでは、直接相続税額に影響を及ぼします。相続発生時の現況面積となります。すでに測量が完了し、確定測量図、地積測量図がある場合は特段、図面の地積を使用します。
地積測量がない場合、公図も参考にしますが、国土調査済みであれば信頼性が高いと言えます。国土調査が入っておらず1/600であれば現況とずれていることが大半です。その際は現地を直接図ることも行います。またGOOGLE MAPで面積の概算を算定したり、役所調査において建築計画申請書、道路台帳、上下水道台帳等も参考にして、地積を算出します。
- 財産評価をする際に注意することはありますか(利用区分)?
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土地を評価する場合、土地の利用区分が重要になります。1筆ごとに評価はしません。土地の利用と相続する人が同一か別々かによっても異なります。
例えば、1筆上に自宅、アパート、駐車場(月極)の場合、別々に評価します。また1筆上に自宅、アパート、駐車場(アパート入居者用)であれば、アパートと駐車場は一体評価します。現場の使用状況により、利用区分は異なるため、現地調査は必須となります。
- 広大地はもう使えませんか?
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使えません。税制改正により平成30年1月1日の相続開始から、広大地の適用は出来ません。
ただし、平成29年12月31日以前に相続が開始し、多く税金を納めてしまった方は、5年以内に更正の請求を行うことが出来ます。
- 広大地とは何ですか?
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開発許可を要する地積で、市街化区域1,000㎡以上(三大都市圏等は500㎡以上、ミニ開発300㎡以上)、非線引き都市計画区域3,000㎡以上、都市計画区域外10,000㎡以上に該当する土地です。また道路を新設する必要があり、マンションが建たない土地になります。
要するに道路を入れた分譲地であれば、広大地に適用します。広大地に適用することで、評価を45~60%減額することが出来ます。
- 相続税の申告に期限はありますか?
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相続開始を知ってから10ヶ月となります。これは相続税の申告及び納税の期限となります。相続税がそもそもかからない方は申告の必要はありません。
但し、注意点として、配偶者の特別軽減、小規模宅地の特例を適用して相続税がかからない場合は、申告が必要となります。
相続税の算出でお困りの方、一度ご相談下さい。
- 財産評価をする際に注意することはありますか(登記)?
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土地の登記が被相続人になっていることで、相続財産として評価できます。中には被相続人の先代、あるいは祖父母のような先先々代の登記が残っており、相続登記が未了の場合もあります。その場合、ご先祖の遺産分割協議書を作成し、祖父の相続人の相続人が遺産分割協議書に署名捺印し、相続登記を進めて行く必要があります。時間と労力が多くかかることなるため、相続が開始したらその都度、相続登記を完了することが望ましいです。
- 財産評価をする際に注意することはありますか?
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まずは現地を見ることです。よく不動産調査で言われることですが、左右見て(隣地との関係、境界、越境等)、下見て(道路との境界、ライフライン、高低差、アスファルトか砂利か、セットバック等)、上見て(電線、空中越境、高圧線等)、周囲を見て(空地あり、墓地、線路等)確認して下さい。状況によっては評価を減額できる要素がありますので、現地調査は必須です。
- 相続税を算定する場合、土地の評価は何を使いますか?
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相続税法第22条では財産の価値は「時価」と定めています。しかしながら、財産基本通達第2章第2節11(財基通2-11)では、路線方式と倍率方式を適用すると定めており、原則、路線価方式では路線価、倍率地域では固定資産税評価額と倍率表と用います。例外的に不動産鑑定評価、時価を用いることもありますが、相続に精通した税理士に相談することをお勧めいたします。
- 土地の価格の種類はいくつありますか?
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一般的に「1物4価」と言われています。公示価格(基準地価)、路線価、固定資産税評価額、時価になります。公示価格は1/1調査時の価格を3月に、(基準地価は7/1調査時の価格を9月に)国土交通省(都道府県)が発表します。路線価は、1/1調査時の価格を7月に国税庁が発表します。固定資産税評価額は1/1調査時の価格を3月以降に市町村が発表します。最後の時価ですが市場で決まります。価格は、公示価格 (基準地価) を100とすれば、路線価は80、固定資産税評価額は70となります。時価については時代、場所によって異なります。
- 任意後見制度と家族信託の違いは
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任意後見と家族信託は、どちらも契約を締結し、誰かに財産管理等を任せるという点では同じです。
しかし、次のような違いがあります。
任意後見は、認知症になった時点で後見監督人の選任申し立てを裁判所に行い、後見監督人が選任されると効力が発生します。一方、家族信託は、契約によって効力が発生しますので、認知症を発症していなくても効力を発生させることができます。
また、任意後見には医療機関や施設の手続きを本人に代わって行う、身上保護の契約をすることできますが、家族信託は財産の管理契約ですので、身上保護契約をするには、後見制度を併用する必要があります。
費用面は、任意後見制度は家族信託に比べ、初期費用は安いですが、本人が死亡するまで後見監督人に対して費用がかかります。逆に家族信託は、初期費用は高いですが、その後の費用はかかりません。
任意後見制度は裁判所から後見監督人が選任されるため、裁判所の監督下にありますが、家族信託は当事者同士の契約ですので、裁判所の監督はありません。
任意後見制度と家族信託のどちらを選ぶかは、身上保護が必要なのか?、何を委託したいのか?、本人の余命がどのくらいなのかによって変わってきます。
- 土地の名義が先祖のままですが、遺産分割はできますか。
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できません。先祖の代まで遡り遺産分割協議書を作成していきます。但し、年月が経過しているため、当時の相続人はすでに亡くなっている場合があります。さらにその相続人も亡くなっている場合があります。相続人も増え、連絡が取れない可能性もあります。土地の名義が先祖のままのものがあれば、できるだけ早く相続登記を行って下さい。相続税の申告が必要な場合、相続が発生してからでは10ヶ月で間に合わない可能性があります。相続登記が間に合わず、遺産分割協議ができない場合、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができません。
- 小規模宅地特例の生計一親族の要件は何ですか?
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生計一親族に明確な規定はありませんが、一般的に必ずしも同居している必要はなく、生活費等を負担し合ったり、介護の面倒を見ていたり、明らかに互いが独立した生活を送っていない状況をいいます。例えば父親が所有する隣地に長男が家を建築し、父親の生活の面倒を見ているなどお互い支え合いながら暮らしているイメージです。
- 物納による納税はできますか?
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状況にもよるのですが、原則難しいでしょう。現金一括納付、延納ができない場合、許された方法になります。年間130万件の相続税申告の中で、物納申請件数は60件、うち物納許可が下りたものがわずか40件となります。納税対策は物納を含めないプランが望ましいと言えます。万が一、物納対策が必要になる場合には、物納コンサルティング会社を連携し、進めたほうが良いでしょう。
- 相続税の納付方法はいくつありますか?
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納税方法は3つあります。現金納付、延納、物納です。現金で一括納付となります。一括納付ができない場合、分割で支払う延納になります。分割支払いができない場合、物納を選ぶことができます。
- 限定承認とはどういったものですか?
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プラスの財産を超えるマイナスの財産を引き継がない手続きです。債務超過の額が不明である場合に有効です。限定承認は相続の開始を知った日から3ヶ月以内に相続人全員で家庭裁判所に申請する必要があります。実務上、限定承認を行うケースが少ないです。また注意点として、相続財産に不動産がある場合、被相続人からのみなし贈与の扱いとなるため、準確定申告が必要となります。
- 相続放棄と相続の放棄は同じものですか?
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いいえ、違います。相続放棄は家庭裁判所に「相続放棄」の申述書を提出し、受理されることで相続財産一切を受け取らないことを示します。一方、相続の放棄は、遺産分割協議の中で財産を受けらないことを示します。例えば、遺産分割協議書以外で、後になって借金が出てきた場合、借金を引き継ぐ可能性もあります。
- 相続放棄はできますか?
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相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。亡くなった人の死亡時の住所地の家庭裁判所に「相続放棄」の申述書を提出します。相続人単独で提出できます。
- 特別受益の持ち戻しとは何ですか?
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特別受益とは、一部の相続人が被相続人から生前贈与を受けた利益のことです。
これを無視して相続財産を分割すると、他の相続人にとっては不公平となり得ます。
例えば、長男、次男の2人で相続財産5000万円を分割する場合、長男が相続発生前に3000万円の生前贈与を受けていたとしたらどうでしょう。
生前贈与分3000万円を含めた8000万円で分割しなければ次男は不公平と感じるのではないでしょうか?
生前贈与を受けていない相続人は、遺産分割の際にこの生前贈与された分を相続財産に含めるよう主張することができることを民法は認めています。
これを特別受益の持ち戻しと言います。
特別受益の元戻しは、相続税の持ち戻しとは違い、いつの時点の生前贈与であっても元戻しを他の相続人は主張することができます。
特別受益とみなされる財産は、 不動産、金銭、有価証券、金銭債権の贈与、生命保険金、死亡退職金、遺族扶助料、教育費などが当たりますが、著しく相続人間で不公平がなければ特別受益の元戻しを主張することはできません。
- 遺産分割はいつの基準価格ですか?
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遺産分割の価格は、遺産分割時の価格です。したがって時価になります。不動産であれば仮に売却するといくらになるかで価格算定します。相続税を算定時には、 相続開始時の 財産評価基本通達に基づく評価(一般的には相続税路線価)で算定します。場合によっては相続開始時と遺産分割の間で、天変地異などの影響で不動産、あるいは株価の暴落した場合には、暴落後の価格で遺産分割を行うことになります。
- 遺産分割に期限はありますか?
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期限はありません。但し実務上、相続税の申告納付がある場合には、相続開始から10ヶ月以内に遺産分割を行います。遺産分割を行うことで相続人への財産が確定し、各相続人の引き継いだ財産に見合った金額を納付していく順序になります。
- 小規模宅地特例について、相続時に被相続人が老人ホームに入所していた場合、特例を適用できますか?
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平成25年の税制改正により、相続時に被相続人が老人ホーム入所(所有権・就寝利用権取得)していた場合も小規模宅地特例の適用ができるようになりました。
具体的には
(1)被相続人に介護が必要なため入所したものであること
(2)入所後新たにその建物を他の者の居住の用に供していた事実がないこと
(3)その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと
などの要件を満たす必要があります。
改正前は生活の本拠が老人ホームに移るため適用不可でした。
- 小規模宅地特例について、特定居住用宅地と特定事業用宅地との併用は可能ですか?
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平成25年の税制改正において、特定居住用宅地と特定事業用宅地は完全併用できるようになりました。つまり特定居住用宅地330m2+特定事業用宅地400m2の合計730m2まで適用できます。
但し、貸付事業用宅地との併用については下記計算式に基づき限定併用となります。
A=特定事業用宅地
B=特定居住用宅地
C=貸付事業用宅地
Ax200/400+Bx200/330+C≦200m2
もし特定事業用宅地が100m2 特定居住用宅地が165m2、貸付事業用宅地が100m2とした場合で貸付事業用宅地が何m2適用できるかを計算してみます。
100m2x200/400+165m2x200/330+C=200
これを解くとCは50m2となり、貸付事業用宅地は50m2まで併用できることとなります。
- 小規模宅地特例について、親の土地に建てた2世帯住宅は同居要件を満たしますか?
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平成25年の税制改正で、構造上区分され、内部で1Fと2Fが行き来できなくても、区分所有登記がされていなければ小規模宅地の特例が適用できることになりました(外階段で行き来できればOK)。改正前は、外階段で1F、2Fが行き来する場合は適用対象外でした。(室内で行き来できる場合のみOK)
- 小規模宅地特例の3年内家なき子とは何ですか?
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2次相続で、親と同居していない相続人が、小規模宅地特例を適用するための要件です。要件は以下の通りです
(1)被相続人に配偶者又は、同居の法定相続人がいない。
(2)相続開始前3年以内に自己所有の家屋、およびその配偶者所有の家屋に居住していない
(3)申告期限までにその相続した宅地を保有している
また平成31年より要件が追加され、下記の人は適用できないことになっています。
(4)相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族またはその者と特別な関係にある法人が有する国内に所在する家屋に居住したことがある者
(5)相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
- 小規模宅地宅地特例の同居要件は、住民票を移せば満たすことができますか?
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小規模宅地特例の同居要件は、住民票がそこにあるかどうかの問題ではなく、居住の実体があるかを判断されます。同居の家から会社に通っているか?、相続人の子供が一緒に暮らしているかなど、様々な視点で税務署は判断します。